当市では、国や社会などの様々な情勢を踏まえて、まちづくりを推進します。
我が国では、2008年をピークに人口の減少局面に入っており、労働力の減少や経済規模の縮小、地域コミュニティの弱体化、空き家・空き地の増加、公共交通利用者の減少などにより、社会経済や地方財政に大きな影響を及ぼすことが予想されています。
こうした状況の中で、人口の減少をできる限り抑制するとともに、誰もが安心して暮らしていけるような社会環境の実現が求められています。
人口減少とともに少子高齢化が加速しており、我が国では合計特殊出生率※1が1975年の1.91から低下し、2005年には過去最低の1.26、2018年には1.42となり、出生数の減少傾向が進んでいます。また、高齢者の割合は、2010年に65歳以上の人口が21%を超える超高齢社会を迎えており、2025年には団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、医療費等の社会保障費の急増が予想されています。さらに、65歳以上の人口は、2039年に団塊ジュニア世代がすべて65歳となり、2040年頃にピークを迎えます。この状態が進めば、高齢化率の上昇や生産年齢人口の減少により、1人当たりの国民所得を維持することが難しくなります。
一方では、人生100年時代の到来も予見されており、人々の健康意識が高まっていくものと考えられます。健康長寿社会に向けて高齢者の力を発揮し、地域社会に還元していく仕組みづくりが求められています。
我が国が直面する人口減少という大きな課題に対し、国では、将来にわたり活力ある社会を維持するため、平成26年12月に「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」及び「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、地方創生の推進に向けた総合的な取組を進めています。令和元年12月には、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が閣議決定され、新たな視点に基づき、地方創生の一層の充実と強化が図られています
近年、局地化・激甚化する風水害や土砂災害をはじめ、頻発する地震等による大規模な自然災害を背景に、地域防災に対する意識が高まっています。
また、子どもが被害者となるような凶悪犯罪の多発、高齢者が交通事故や特殊詐欺被害等に巻き込まれるケースが絶えないことから、防犯や交通安全に対する一人ひとりの意識を一層高め、家庭や地域コミュニティのつながりや共助による安心・安全なまちづくりが強く求められています。
持続可能な開発目標(SDGs)は、2015年9月の国連サミットで採択された、私たちの地球を守るための計画「アジェンダ2030」に記載された2030年を期限とする国際目標です。「誰一人として取り残さない」世界の実現を理念に持続可能な社会を実現するため、経済、社会、環境をめぐる広範囲な課題に対する統合的な取組が示されています。
我が国においては、2016年5月に政府内にSDGs推進本部が設置され、同年12月にSDGsの実施指針が決定されており、その達成に向けた地域での取組が進められています。
近年、情報通信技術(ICT)の飛躍的な進展とともにインターネット利用率が上昇し、スマートフォン、タブレット端末の普及やSNS※1の飛躍的な発展により、コミュニケーションや情報発信において利便性が向上し、あらゆるものがネットワークにより結びつき、大量のデジタルデータの生成・収集・蓄積・分析が可能となるなど、生活のあらゆる場面で活用が図られています。
さらに、ロボットやAI(人工知能)、IoT※2が、産業や企業活動、生活の様々な場面で使われるようになり、今後の人口減少時代における課題解決の手段として、活用が期待されています。
一方で、インターネット犯罪やプライバシーの侵害、個人情報の漏えいなどが社会問題となっており、情報セキュリティの強化が求められています。
高度経済成長期に整備された多くの社会資本は、近年その老朽化が深刻な問題となっています。道路・橋りょうや上下水道、公園などの日常生活に密着した公共施設等の老朽化や、学校統廃合による空き校舎への対応が急務であり、各自治体にとっては財政面などで大きな負担となります。また、人口減少・少子高齢化が進む中で、公共交通では、利用者が減少している路線バス等の維持が課題となっています。
今後、多くの公共施設等が、一斉に更新時期を迎えることから、中長期的な計画により施設の更新や長寿命化を行い、利活用を含めた適正な施設管理を進めるとともに、地域を支える公共交通ネットワークの維持・充実が求められています。
近年、人々のライフスタイルや家庭、結婚、就労に対する価値観は多様化し、様々なニーズへのきめ細かな対応が求められています。また、人口減少や少子高齢化の進行に伴い、生産年齢人口が減少する中で、社会の持続的な発展や労働力を確保するためには、女性や高齢者の活躍が重要になるとともに、働き方の多様化や労働の質の向上が求められています。
今後は、様々な状況に応じて「仕事」と「家庭生活」のバランスがとれた多様な暮らし方を実現するとともに、地域社会での交流機会を通じて、協働・共助の仕組みを構築し、誰もが活躍できる社会を実現していくことが求められています。